ベンチャーに入るってどうよ?

超一流大学の理系院生の友達が、15人くらいのベンチャーに来年から入ることになりました。その話をしたら、周りはいいます。やめた方がいいよ。花王の方がいいって。賭けたね。おめでとー。いろんなことを言います。

ベンチャーに新卒で入ることはいまだにネガティブに捉えられます。何もオトナだけじゃなく、散々ベンチャー周りをふらついてきた同年代でも同じです。皆、あまり肯定的にとらえようとしません。それは、「優良大企業」と比べて、優秀な企業があまりに少ないからでしょうか。そんなの当たり前です。ベンチャーの段階では、どれが生き残っていく、イノベーションを起こすかなんて、正直、分かりません。明らかにダメなものは分かっても、どれがうまく突き抜けるかなんて、断言できるはずがありません。

10年前のgoogleを見て、革命だーー!やっべ!うおーーー!と言える自信なんて全くないのです。スタンフォードか!セコイアか!すごい!?くらいです。多分。同じく、amazonを見て、ebayを見て、見抜けるか、というと、多分無理です。中身をきっちり見たはずの超優秀なキャピタリストでさえ、イグジットまで持っていけるのは3割超です。分かるはずがない。

友達がそういう場所に行くとなると、それは7割失敗の世界であり(今回もVCは入っている)、一方で、その1つの選択が生活であり、人生です。だからこそ、みんな反対するのでしょう。だって、大概が失敗するから。

でも、仮に、皆が皆、大企業に行くとどうなるでしょう。国、潰れます。間違いなくさらに加速度的に衰退します。イノベーションのジレンマ。そして、国際間の競争での衰退。次のソニーやホンダやパナソニック、が出てこないと、本当に危ないと思うのです。日本企業の時価総額をトップから並べてみてください。そして、設立年度を見てみてください。それが、日本の現実です。これから、万が一、勝つかもしれない企業に入ることを責めている場合じゃないと思うんです。

ミクロで見ると、ベンチャーに入るという選択をした人は、大企業で安定的に収入を得る切符を失ったがゆえに、将来、もしかしたら厳しい生活が待っているかもしれません。でも、マクロで見ると、そういう優秀な若者を取れないのが日本のベンチャーマーケットである方が厳しいような気がするのです。

ネットバブル期に上場した企業が2〜3年して落ち着いた頃。そんな時代が私の年代が大学に入った時代です。東京には「インターン」というものが根付き、学生と社会の接点がものすごく増えました。学生とベンチャー企業の接点と言った方が正確でしょうか。とにかく、「東京」の「文系」の学生には、学外の外へ、外へと出て行った、この手のタイプが圧倒的に多いです。

そんな彼らは、とても優秀なことが多いのです。同年代においても、ずば抜けて優秀であることが多いのです。フットワークが軽く、人あたりが良く、世の中をよく見ていて、ちゃんと考えている。自分のことも。社会のことも。だからこそ、就職活動の時期も早く、そして、きっちりと就職していきます。所謂、外資投資銀行外資コンサルティングファームか、外資系メーカー、四大商社、電博、一部の超優良大企業。これが、彼らの主な就職先でしょう。

学生時代に散々ベンチャーを見ている類の彼らも、満を持して、大企業に入ります。そして、大企業に入ってから彼らはこう言います。「やっぱり大企業はすごい。」「システムがすごい。」「教育がすごい。」すごいすごいの連発です。その1つ1つは正しく、何も間違っていません。でも、なんというか違和感なのです。

ベンチャーの先には大企業があります。だからこそ、先を行く大企業を素肌を持って知っておくというのは大事なのかもしれません。でも、じゃあ、大企業を見たからベンチャーを作れるか。そんなことはありません。0から10を生み出す作業と、1000から1100を育てる作業はどう考えても必要な能力が異なります。

ベンチャーと大企業は延長線という線で結ばれながらも、何もかも違うと思うのです。その思考ロジック、状況の違い、スピード感、何もかも、一歩離れて、その大企業に身をおく「サラリーマン」の自分を常にとらえておかないと、当たり前の失敗をおかしそうな気がします。

けど、言うのです。「将来起業を。」って。

30歳くらいになって、守るものができて、それでもみんな走れるのでしょうか。戦えるのでしょうか。まだ、やり直せる20代に大きくこけておいた方がいいんじゃないでしょうか。技術がない。知識が足りない。それはいつになったらこと足りるのでしょうか。それは30歳になったら満足いくレベルになるのでしょうか。畑違いの世界に身を置きながら、それでも、自分の思うラインまで、ちゃんと成長できるのでしょうか。

新卒で入る企業は確かに大事です。分かっています。でも、このままでは日本は危ないのではないかと思うのも事実です。

そして、この文章は自戒の意味も込めて書いたものでもあります。全然まとまりもなく書きなぐったので、めちゃくちゃですが。思った以上に大企業からのアクセスが多いので、書いてみました。

ちなみに、周りでよく話すのですが、大企業メーカーは文系採用、もっと真剣に考えるべきだと思います。危惧した方がいいと思います。あまりに状況が見えていない気がします。それはまた今度書きます。ん?ラボってなーに。